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https://w.atwiki.jp/psparchives/pages/387.html
カセットゲーム機並みの読み込みの早さ、シンプルな操作体系で快適にプレイできる。PS系のゲームよりも手軽にできるので稼働率が高い。絶妙なバランスで、やられても納得感があり、何度でも挑戦したくなる。 敵の攻撃方法や仕掛けも古臭くは感じないが、ステージ毎の差があまり感じられないのは少し残念。 -- (名無しさん) 2010-03-31 20 24 39 横スクロールのシューティングゲーム 若干、実機の外見や操作性(システム)名前もサンダーフォースに似ている… というか元テクノソフト所属でサンダーフォースIIとサンダーフォースIIIを制作したスタッフが作ったゲームなので思いっきり似てます サンダーフォースファンなら必見かも それとWiiのバーチャルコンソールでエミュの精度が低くボヤけてた画面もゲームアーカイブスではドットがクッキリ見えるくらいに改善されてました -- (名無しさん) 2010-04-01 22 41 27 難易度は高いが面白い しかし、色合いがきついため少々安っぽく見えてしまう点がマイナス それ以外はまぁまぁ難易度の高い横STGである ボスの攻撃は大体パターンを読めばクリア可能だが、道中は結構キツい 難易度とグラフィックの低さであまり初心者にはオススメできない -- (名無しさん) 2010-04-02 22 26 04
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29歳はないだろう?そんなヒキコモリいねーよ 主人公は、容姿がキモくて、いじめを受け続けて、15歳から引きこもり 続け、29歳でデブハゲチビキモ四重苦を背負い、リストカットまで して自殺未遂するが、死に切れず・・・が30歳の誕生日に いつもの脳内ロリ彼女が夢に現れ、投資のノウハウを教えてくれる。 その日から、オンライントレードを始め、 500億の財産を築く。・・・がしかし、一定の満足は 得られたものの、実は自分は人のぬくもりを欲している事に気付く。 金で女は買えると思っていたが、 鏡を見てこの姿では、そんな事さえできやしないと 絶望する。 なんとか人間との関わりを持ちたいと思い、 あるアイデアを思いつく。 会社経営のプロと、イケメンの男を買う事。 イケメンの男は自分の影武者にし、 自分は常に暗闇の中で命令を続け、利益だけを吸い取る。 ネットで人材を募集し、会社を設立 自分の姿を一切封印し、社会に乗り出していく。 番外編 ついに国を動かすまでの権力を手に入れた主人公、 女は金で買えるような法律まで作る。 そして国民全ての女に値段が付けられる。 ネットでデータベースが作られ、 買える様になった。 こんなストーリーでお願い。
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アメリカ、バージニア州ラングレー。首都ワシントンD.C.をポトマック川西岸から望む位置に、その巨大組織の本拠地は存在した。 アメリカ中央情報局。 CIAという略称で世界にその名を知られるその組織は、あるものにはまるで正義の象徴のように、あるものには禍々しい陰謀の全てがそこから発せられるのだと思われている。 海外作戦部の極秘セクション、第13特殊作戦部にその日入った一本の電話は、受話器を取った男に失望のため息をつかせることになった。 「失敗した、だと? ――それは確かなのか? ヤスダはどうしたのだ? 死んだだと!?」 つい荒げてしまった声に電話の向こうが恐縮の声を漏らす。詳細な状況を聞き、男は諦めたように力なく受話器を置いた。 ターゲットは重傷だが生存、”ドール”は暴走した可能性が高く行方不明。そして作戦の責任者は自爆した。公安警察のコネをフル活用してマスコミの報道は押さえ込んだために、CIAの関与が表沙汰になるような事態は避けられそうだったが、死傷者の多さと事件の性格上、日本国内は騒然となっているようだった。 「……バカな、なんてことだ……。長官にどう伝えればいいのだ」 電話の相手は、CIA東京支局長だった。まず失敗するはずのない作戦が未遂に終わったことが、この巨大官僚組織で生き残っていく上で大きな躓きとなるのではないか。漠然とした不安に苛まれ、ジェフリー・ペンドルトン第13特殊作戦部長は一人苦虫をかみつぶした表情になった。 平和ボケした日本のマスコミが、周大栄が襲撃されたことの裏を読み取るとは思えなかったが、他国の諜報機関員は裏にCIAが関与していることはもちろんとして、安田ほど凄腕の工作員が失敗したことに関心を抱くに違いなかった。 ”……あの、ヤスダが。ドールをコントロールできなかったのか” 安田はかつて公安警察に所属していたが、公安内部の勢力争いに巻き込まれたあげく不祥事をでっち上げられて、公安を首になった。当時東京支局長だったジェフリーは任務上交流のあった安田の不遇と、その能力を惜しんで特殊工作員としてスカウトしたのだ。 汚名を着せられ職も家族も失った安田は見るも無惨な状態にあった。だが、ジェフリーに拾われてからはみるみるうちに往時の輝きを取り戻し、凄腕の特殊工作員として東京支局長時代のジェフリーを支えてくれるまでになったのだった。 その後、本国に帰還したジェフリーは”ドール・プロジェクト”の責任者に任命された。 ”ドール・プロジェクト”はそもそも、洗脳による特殊工作員の養成と実行の計画だった。しかし、成人を洗脳し特殊工作員に仕立て上げるにはかなりの時間と費用、そしてリスクが存在した。 人間に心、というものが存在する限り、裏切りや寝返り、精神崩壊といった不確定要素をゼロにすることは不可能に近い。試行錯誤の上そういう結論に達したプロジェクトは、ゼロからそういう人間を養成する方向にシフトされた。人工授精やクローン技術、そういった最先端科学の要素も付け加えられ、生まれたのがコードネーム”オーガスト・ムーン”だった。 だが、カーター政権下でのCIA縮小論や、その後レーガン政権下で息を吹き返した物の、ソ連崩壊による東西冷戦の終結は、プロトタイプがようやく完成したプロジェクトにとって、大きなブレーキとなった。 計画の中止こそ免れたものの、予算規模の縮小をなんとか食い止めるため、激戦区の一つであるアジアの拠点、日本へ完成したばかりの”オーガスト・ムーン”を投入した。 ジェフリーが本国へ帰還した後も、日本における特殊工作の要となっていた安田は、”オーガスト・ムーン”を巧みに運用、地道ではあったが本国を納得させるだけの成果をあげ続けていたのだ。そう、今日までは。 約50年前に発動した計画を、30年前に引き継ぎ、発展させてきたジェフリーにとって、計画にかすかな綻びが見えはじめたことは耐え難いものに感じられた。 そのとき、特徴的なノックの音がした。声をかけてジェフリーは室外の人物を招き入れた。 「伯父さん。……トーキョーが失敗したそうですね」 入ってきた人物は開口一番、そう言った。比較的地味で、ぱっとしない印象が強いCIAマンの中で、その男は貴族的とすらいえる容姿が印象的な男だった。 「……アーニー。伯父さんはよさんか」 ジェフリーの言葉にもひるむことなく、アーノルド・ウィンストンは癖のある前髪を指先で跳ね上げた。 「”オーガスト・ムーン”が暴走したらしい、と聞きましたが」 口元をかすかに歪めて笑うような表情をする甥にジェフリーはむっつりとした。 「耳が速いな。……その通りだ」 「いえいえ。ちょっとそこで小耳に挟んだもので。で、どうされるおつもりですか」 昂然とあごを逸らし、アーノルドは今度こそ微笑みを浮かべた。 「どうもこうもない。暴走した人形は……」 「どうしようもありますまい。所詮はプロトタイプだったってことです。”オーガスト・ムーン”は」 「では、どうするのだ?」 あざけるような甥の物言いにジェフリーはむしろ挑戦的に笑みを浮かべた。 「……部長から引き継いだドール・プロジェクトは僕の手でパーフェクトに完成しました。その成果をお見せしますよ。そうそう時間は取りません。ついでに、失敗した作戦の後始末も僕自らつけて見せます」 甥の言葉にジェフリーは眉を跳ね上げた。 「トーキョーに行くというのか?」 「許可をいただけませんか。こればかりは、僕の独断で動くわけには参りませんので」 ブリーフケースから一枚の書類を取り出すとアーノルドはジェフリーに差し出した。 「サインをお願いします、部長。僕が創り上げた美しいドールたちが、CIAの新しい時代を切り開く幕開けを、ラングレーで楽しみにお待ちください」 芝居がかったアーノルドの物言いに耐えて、ジェフリーは差し出された書類を一読してサインした。 「……そう都合良く事が進むものかな」 結局ジェフリーは嫌味を言う誘惑に勝てなかった。 だが、アーノルドはそんな伯父の一言など意にも介さず、書類を元通りブリーフケースにしまい込むと前髪を指先で跳ね上げた。 「伯父さん、いや、部長がこのプロジェクトに関わっていた頃とはまったく違う存在になっているのですよ。我々が作り上げた”ドール”は。ご心配は、無用です」 アーノルドは傲慢な口調とは裏腹に表情を隠すと、一礼して踵を返した。怒りを隠し切れぬ表情の伯父に満足げな笑みを浮かべ、退室する。 一人、室内に取り残された形のジェフリーは、怒りをぶつけることも出来ぬまま、椅子に深々ともたれかかると宙を仰いで嘆息した。 ”――何故、失敗したのだ、ヤスダよ” すでにこの世におらぬ旧友は、ジェフリーに何も応えてはくれなかった。 その部屋を、アーノルドは”ラボ”と呼んでいた。 「朗報だぞ、ベイビー。トーキョーでパーティーが決まった」 ドアを開け、室内に入るなりアーノルドはうきうきと言った。後ろ手にドアを閉め、鍵をかける。”ラボ”という呼び名とも、CIA庁舎内の他の部屋ともかけ離れたクラシカルで豪奢な内装の部屋には、ふたりのハイティーンの少女がいた。 ひとりはショートヘアのプラチナブロンドで、むっちりとして見える白い肌の肢体をシンプルな白のタンクトップにカーキのワークパンツで包んでいた。もうひとりは浅黒い褐色の肌にブルネットの髪を長く伸ばした長身の少女だった。焦げ茶のボレロのカーディガンに胸元が同色のレースで彩られたベロアの黒いワンピース、黒いオーバーニーソックスといったいでたちで、ブロンドの少女と比べるとクールな表情と顔立ちが少し大人っぽく見える。純粋な白人に見えるブロンド少女よりは、顔立ちと肌の色が複雑な血を感じさせた。 「本当なの? ダディ!」 歓声を上げたのはプラチナブロンドの少女だった。アーノルドに抱きつくと、同年代の少女よりも幼い顔立ちの割に、肉感的な胸を押しつけるようにしながらアーノルドの頬にキスの雨を降らせる。 「本当だとも、クリス。ようやく、お前たちの出番がきたんだ」 ささやきながら、クリスと呼んだ少女を脇に抱えるようにすると、アーノルドはタンクトップからあふれんばかりに盛り上がったクリスの胸を揉みしだいた。ブラを着けておらず早くも固くしこり尖りはじめた先端が指先でつまみ上げられ、弾くように押し込まれる。同時に透き通るような白い肌をした首筋に唇を這わせる。 「んんっ、ダッド……んんぅ」 ビクン、と肩を震わせ、クリスは力を失ってアーノルドに寄りかかった。息づかいが荒くなり、白い肌が淡いピンクに染まっていく。 「どうして、トーキョーに? 何があったの、ダディ?」 長身の少女は顔立ち同様クールな口調でそう言うと、かけていたソファから立ち上がって、快楽に身をよじらせるクリスをねっとりと責め続けるアーノルドの前にひざまづいた。 まるで当然の儀式だとでもいうように、ジェスはアーノルドのスラックスを降ろし、むき出しになったボクサーパンツの上から、はっきりと分かるほどに隆起したアーノルドの分身をしなやかな指先でなぞり、くすぐる。 「トーキョーにいる、出来損ないの”ドール”を始末しに行くんだ、ジェス。ついでに、失敗した……ミッションの後始末もな」 ジェスと呼ばれた褐色の肌の少女は、アーノルドの言葉に瞳をきらめかせた。 「”オーガスト・ムーン”を?」 クールに見えたジェスの表情に、ほんのわずかだが熱情のきらめきめいた何かが走るのが分かった。それはどこか昏い輝きに見えたが、一瞬にしてクールな表情にかき消された。 すぐに、ボクサーパンツも引き下ろされ、むき出しになったアーノルドの分身にぷるりとした唇から伸びた舌先が絡み付けられる。かすかに先走りのきらめきがにじむ先端をねぶり取ると、裏筋を上下になぞった後、ジェスは口を大きく開いてアーノルドの分身を一気に飲み込んだ。 「おぉっ……。いいよ、そう……相変わらずジェスは、ブロウ・ジョブが、上手、だね」 下半身に生じた快感にうめきつつ、アーノルドは淫楽にまみれた笑顔を浮かべながらクリスのタンクトップをまくり上げた。まろび出たクリスの双丘を両の手のひらで包み込み、持ち上げるようにこねくり回す。中指と人差し指の間に挟み込まれた双丘の固く尖った先端が、アーノルドの手のひらの動きに同調してクリスの官能を刺激する。 「くっぁぁ、んぅっ!」 びんと背筋を伸ばしてクリスは苦しげに眉をひそめ息を吐き出した。アーノルドに耳を責められ、逃れるように顔を背ける。 「やんっ……ダッド、もぉ……我慢、出来ないっ、ちょうだいっ」 腰をくねくねとうごめかせ、淫色に染まった表情でクリスは懇願の言葉を口にしていた。 「だめ……じゃないか、クリス、もうそんなに、なってるんだね……」 ジェスの激しすぎるフェラチオに分身を嬲られながら、アーノルドはクリスの双丘を責めていた手のひらを徐々に下半身に滑らせていった。ワークパンツのジッパーを下ろし、腰骨のラインをなぞりながら指先をワークパンツに引っかけて引き下ろす。 むき出しになったクリスのネイビーブルーのTバックショーツをお尻の側から引きずり下ろすと、分身を責めるジェスを制止して、ジェスの唾液にまみれ鈍く光る自身の分身をクリスの下半身にあてがった。 ジェスは立ち上がると、クリスの身体を支えるように抱きかかえて、淫蕩に染まりきった表情をしたクリスの唇に自らのそれを重ね、強く吸い上げる。ジェスにもたれかかり首筋に腕を巻き付けて、腰をぐっと突き出したクリスの淫裂にアーノルドの膨れあがった分身がねじ込まれた。 「んんっ」 「んぅぅっ! んんっ、んーっ!」 懇願したとおりに雄の器官を受け入れて、ビクビクンっ、とクリスの身体が幾度も鋭く震えた。だが、ジェスに唇をふさがれて甘い官能の鳴声を漏らすことも叶わず、うめき声にも似た吐息を漏らすことしか出来ない。 ゆっくりと奥底まで到達したアーノルドの分身を、クリスの淫裂が吐き出さんばかりに締め付ける。その圧力をものともせず、アーノルドは抽迭を開始した。 溢れかえった淫液がかき混ぜられ泡立つ音と伴って、アーノルドの肌とクリスの肌がぶつかり合うリズミカルな響きが室内にこだまする。 「ん、はぁっ……んぁっ、あ、ああ、ああ、ああぁんっ!」 ふさがれていた唇が解放され、クリスの官能の叫声が部屋にあふれた。ジェスはクリスの上半身を支えたまま、その手のひらでたわわに実るクリスのボリューム感溢れる双丘を包み込んでこね回した。身をくねらせるクリスの首筋に唇を這わせると、チロチロと舌先を覗かせながら、時折強めに吸い付いてキスの吸着音を立てていった。 「はぁんっ、あんぅ! あっあっあっ、来る、来るっ! ああああっ!」 二人がかりで責めあげられ、クリスはあっという間に官能の頂点に到達させられた。叫びながら全身を震わせ、数回登り詰めると糸の切れたあやつり人形のように脱力して、ぐったりと床にへたり込む。 そんなクリスを見下ろしながら、ジェスはカーディガンを脱ぐとワンピースのジッパーを下ろした。するりと床にワンピースがすべり落ち、レースの印象が強いデザインの白いブラとショーツ姿になった。下着姿になると、黒いオーバーニーソックスがスリムかつ美麗な足のラインを引き立てる。クリスに比べれば長身と相まってスリムな印象が強いが、それでも並はずれたプロポーションは同性からも羨望のまなざしで見られるに違いなかった。 「ダッド……。私も、ダッドが、欲しい」 頬を軽く紅潮させて、長い髪を両手で梳いてなびかせながら、厳かな口調でそう言うとジェスはアーノルドの胸に飛び込んだ。腕を首筋に巻き付けながら、アーノルドの唇に自ら進んで唇を重ね合わせる。アーノルドの手のひらと唇が、ジェスの身体をなめらかに這い回る。的確な愛撫に身をくねらせ官能の吐息を漏らすジェスの身体は、あっという間に全裸にされていた。 「どっちに欲しい?」 アーノルドの問いにジェスは、のろのろとアーノルドから離れると、背を向けて床に四つんばいになった。汗ばみ鈍く光る褐色の肌がなまめかしい。腰を突き上げるように捧げて、ジェスはすでに淫裂と化した自らの亀裂と、排泄の為に用意されたダークピンクの窄まりを自らの指先で拡げて見せつけた。 「どっちにも……ダッドの……欲しいです、お願い……しますっ」 視線を背け羞恥の表情に染まったジェスのささやきにアーノルドは満足げに笑みを浮かべた。 「ジェス……イケナイ子だね、君は」 ひとりごちてひざまずき、未だ欲望がみなぎる分身をまずはジェスの淫液に潤んだ淫裂にそっとあてがった。アーノルドはジェスの腰を抱くと、そのまま一気に分身を埋没させていく。 「んっ、ぁっ」 どこかむっちりとした印象のアーノルドの分身が、粘着性のある音とともに根元近くまで納められた。そしてその音は開始された抽迭とともに、肌と肌がぶつかり合う音と重なり合い、共鳴してリズミカルなものに変わっていく。 「あっ、ああっ、あっ、あっ、あんぅっ!」 長い髪を振り乱し、クールな表情をかなぐり捨てたジェスの嬌声がリズミカルに、アーノルドの力強く正確な抽迭とともに響き渡る。ビクン、ビクンと褐色の肌を震わせ官能にまみれた吐息が抽迭と重なり溶け合った。 「あんっ、あんっ、あ、あ、あ、あーっ!」 アーノルドの分身を締め上げ、うごめくジェスの淫肉が熱く燃えたように変化する。溢れる淫液が摩擦感を消しはじめた頃、細かく顫動すると同時に、ジェスは四つんばいの姿勢を保てなくなり、切なげに眉をひそめ頬を紅潮させた顔を床に押しつけるようにして、頂点に達していた。 意識があるのかないのか、腰を突き出しぐったりとして泡だった淫液の白く鈍い輝きを露わにしたままのジェスの身体を、アーノルドは床にごろんと転がして仰向けにした。だらしなく投げ出された両脚を膝裏で抱え上げ大きく開かせて、淫裂はもちろんのこと、ダークピンクのひくつく窄まりをもむき出しに晒す。 「我慢できなかったのかい? だめじゃないか……おしおきだよ、ジェス」 片手で構えるように分身を握りしめ、アーノルドはジェスの窄まりにその先端をあてがった。ぐっと身体ごと腰を押しつけ、分身をジェスの排泄の為の器官に埋め込んでいった。 「んぅぅっ、あっ、ん、ぐぅぅっ!」 ジェスの背筋が弓なりになった。髪を振り乱し顔をのけぞらせて苦しげにうめく姿とは裏腹に、ジェスの窄まりは易々とアーノルドの分身を飲み込んでいた。 「ほら……根元まで、入ったよ、ジェス」 荒々しい息づかいとともにささやくアーノルドは、ゆらゆらとうごめくジェスの片足を抱えて肩に乗せた。そして、身体全体を揺するようにジェスの窄まりを犯し始めた。 本来収められるべき生殖器官を犯しているときほどに、派手な淫音はしない。だが徐々に、落ち着いた抽迭に合わせるように、粘りけのある液体をかき混ぜる淫らな粘着音が、ふたりがつながっている場所から伝わってくる。クリスほどではないにせよ、充分なボリュームをした褐色のジェスの双丘の固く尖った先端が鈍いピンクのきらめきを伴って揺れる。 「あぅっ、あっ、あんぅ、あんっ、ああぅっ、あんぅ、あ、あ、ああんっ!」 のけぞりあごをそらすジェスの唇から、甘く陶酔したような淫楽の嬌声が漏れ、オクターブがじわじわと上昇していく。 ジェスの反応にアーノルドはほくそ笑むと汗ばんだ額に張り付く前髪もそのままに、空いた手のひらを片足が快感にくねり踊るたびに見え隠れするジェスの淫裂にすべり込ませた。褐色の肌を彩る濃いブルネットのアンダーヘアの下部に走る、引き裂くようなサーモンピンクの亀裂は淫液のぬめりに輝いてしっとりと色づき、驚くほど淫らに見えた。 すべり込んだアーノルドの手のひらは、中指と人差し指を淫裂に埋め込みながら、親指の腹で白く鈍く輝く固く尖りきったジェスの淫芯を転がした。 「ああんっっ! やぁっ、あ、あ、あんぅ!」 突如わき起こった刺激に、ジェスの声のオクターブが鋭さを増す。もがくようにも見える無意味な腕の動き、腰を中心にビク、ビクビクン! と全身が熾りのように痙攣する。 「やっ……ダッド、ああっ、来る、来るよぉ! 私、もぉ……あああっ!」 無意味な言葉をうわごとのように叫んで、ジェスは絶頂に達しかけた。アーノルドの分身をくわえ込んだ内臓が、異物を排出するかのようにうごめいて締め付ける。 「いいぞ……ジェ……ス、おおぉ! ああぅ!」 一瞬、アーノルドの腰の動きがぴたりと停止した。切なげに目を閉じ何かに耐えるかのように唇をかみしめる。 「おおうっ」 大きく息を吐き出したアーノルドは、腰を引いて埋め込んでいた分身を素早く引き抜いた。 「っ、あっ……」 ため息めいた吐息を吐き出したジェスの褐色の肌に、アーノルドの分身から吐き出された白い精が勢いよく、間歇的に浴びせられた。褐色の肌と対照的なコントラストの白い粘液にまみれ、ジェスはそっと目を閉じ、もう一度吐息を漏らした。 「はぁぅぅ……」 ややあって、ゆらりと立ち上がったアーノルドは、息も絶え絶えで床に転がる二人の少女を見下ろして満足げに笑みを漏らした。最初のうち忍び笑いをしていたが、徐々にそれは大きくなり、やがてヒステリックにも聞こえる哄笑へと変わっていった。 数日後。東京――渋谷。夕刻を迎え、街は人々の喧騒で溢れかえっていた。晩秋の肌寒さも数日前の凄惨な襲撃事件も関係ないとばかりに、この街はいつものように夕闇の赤い光に包み込まれていた。 雑踏の中をひとりの少女がセンター街を西に向かっていた。年齢は16、7才くらいだろうか。長身のすらりとした身体つきと、颯爽とした歩き方が異性同性を問わずすれ違う人々の目を引くことおびただしい。落ち着いたベージュのカシュクール風ブラウスに黒のマイクロミニ、素足にブーツといったいでたちで大きめのトートバッグを肩からかけている。かすかになびく長い黒髪と、どこかりりしさすら感じるくっきりとしたノーブルな顔立ちを、スリムデザインの茶色フレームのメガネが知性溢れるきらめきとなって、少女を彩っていた。 突き当たった左側にあるハンバーガーショップの前で、少女は待ち合わせていた相手と落ち合った。 「遅くなってごめんなさい。待った?」 少女が笑顔でそう問いかけると、30代後半らしいスーツ姿の男は目を丸くした。何が入っているのかと問いたくなるほど膨れあがったビジネスバッグを肩からかけている。 「君が、”なーちゃん”なの?」 男はメッセンジャーソフトで会話したときのハンドルネームを驚きの表情でつぶやいた。眼前に立つメガネの美少女が、約束したようなことをするようにはとても見えず、男は幾度も目をしばたたかせた。 「だめ、かな?」 小首をかしげそうつぶやく少女に男は慌てて首を振った。 「いやいや、違うんだよ、あんまりカワイくてさ、こんなかわいい子って思ってなかったから……。ね、あれ持ってきてくれた?」 かすかに声を潜めた男に少女は目で笑いかけた。 「制服、でしょ? 持ってきたよ……」 男に合わせて声を潜めると少女は男の腕に腕を絡み付けた。 「いこ、ここじゃなんだし」 「あ、うん」 軽く赤面した男は、どぎまぎしつつも背筋を伸ばして少女と歩き始めた。 数分後、いくつかの角を曲がり通りを越えて男と少女はラブホテルの一室に潜り込んだ。 シャワーを浴び、リクエスト通り高校の制服に着替えた少女の姿に、男は興奮を隠しきれないようだった。 濃緑のブレザーにオレンジのリボンタイがあしらわれた白いブラウス、短めのグレイのチェックのプリーツスカート、そしていかにもなルーズソックスといった姿で、ベッドの上に腰掛ける。 「これで、いいかな?」 はにかんだように笑顔をこぼす少女に、先にシャワーを浴びていた男はホテルに用意されたタオル地の白いガウン姿で首がもげるほどに何度もうなずいた。 「いい、いいよ! カワイイねえ、ほんとにいいのかなぁ」 落ち着きのない様子でつぶやく男に、少女は小首をかしげて笑って見せた。 「やだなー、そんなに見ないで、恥ずかしいから」 ささやく少女に、男は浮かれた笑顔でビジネスバッグのジッパーを開け始めた。 「イヤー、いいよ、マジ、もうたまんない。よーし……」 「待って。その前に」 浮かれる男に少女は手のひらを突き出した。 「お小遣い、くれないの?」 男の表情が一瞬しょっぱいものに変化した。が、すぐに笑顔に戻る。 「あ、そうだね、そうだよね、ごめんごめん、ボクつい慌てちゃってさぁ」 ハンガーに掛けたスーツの上着から財布を取り出し、一万円札を3枚取り出すと枚数を確認して少女に手渡した。 「ありがと」 少女は無造作に折りたたむとスカートのポケットにしまい込んだ。 「じゃあ、始めようか?」 興奮の極致といってもいい男の様子に少女は軽く苦笑した。下半身が隆起しているのがガウンの上からでもはっきり分かる。 「オモチャ使ってもいいっていうからさ、色々用意してきたよ、ほら」 ビジネスバッグから、どぎつい色合いのバイブレータ数本と、ピンクロータが取り出される。 「それを……どうするの?」 ほんの少し表情をこわばらせた少女の問いに、男はピンクロータを手に取った。 「じわじわ行こうよ、そういうの君好きだってメッセで言ってたじゃない。大丈夫、痛いこととかしないから……」 男の指示に従って、少女はベッドの上で膝を立てて座らされた。後ろに手を突きじわじわと脚を拡げていく。 「恥ずかしいなぁ……」 かすかに頬を紅潮させ、少女は顔を背けて男に言われるままになった。最初ぴったりと閉じていた膝頭が離れ、開脚される脚に合わせてスカートが徐々にめくれていく。白地に花柄の刺繍が入ったショーツがむき出しになる。 「こんな……感じ、かな?」 「あぁ、いいよ、そうだよ」 少女の問いに焦った口調で答えると、男は少女の開脚された股間に顔を埋めんばかりの勢いで近づいた。荒々しい男の吐息に少女はくすぐったそうに身をよじった。 「やだぁ……そんなに、そばで見ないで……」 閉じかけた少女の脚を拡げなおし、男は手にしたピンクロータを少女の股間にあてがった。 「だーめ、閉じちゃ。これから、君を気持ちよくしてあげるんだから……」 ささやいて男はロータから伸びたケーブルの先のスイッチを操作した。小さな振動音が発生したかと思うと、少女のショーツのクロッチのあたりにふれた瞬間、音が微妙に変化する。 「……んんぅ、んんっ」 発生した快感に、切なげに眉をひそめ、漏れそうになる声を我慢して口をつぐむ。 「どう? 気持ちいい、でしょ? ほら」 ショーツ越しに少女の亀裂をなぞってロータをこね回す。変化する振動音に合わせるように、少女の白い脚がヒクヒクと震え、くねる。 「んぁ、やっ……だっ」 目を閉じた少女はあごをそらして腰をうごめかした。紅潮した頬が淡いピンクに染まり、息づかいが荒いものに変化していく。 「エッチな顔になってきたよ……、”なーちゃん”はイケナイ子だねぇ~」 ささやき羞恥をあおる男の言葉に、少女はさらに顔を赤面させた。 「やぁん、そんな……こと、言わないでよ……あ、あんっ!」 なぞるうちにくっきりと形付いたショーツの、一番敏感なポイントを強めに刺激されて、走る快感に少女は声を抑えられなくなっていた。 「ここが一番、感じるとこなのかなぁ~。”なーちゃん”の」 ねちっこい声の調子同様に、男のロータを操る感触が少し強いものに変化した。ぐっ、ぐっ、と押しつけられて振動音がさらに変化した。 「やぁ……んっ、声、出ちゃう、ぁぁんっ」 反射的に脚を閉じようとする少女の膝頭を、男は手のひらで押さえつけた。 「閉じちゃだめだよ、もっと気持ちよく、してあげるから」 男は満面の笑顔でそうつぶやくと、あてがっていたロータをベッドの上に放り出し、少女のショーツに手をかけた。 「脱がせちゃうよ、いいよね?」 くたっとした脚をそのままに、少女はとろんとした表情でこくんと頷いた。するする……と丸めるようにショーツがはぎ取られていく。少女も、協力するかのように腰をわずかに浮かせる。丸められて裏側がむき出しになった少女のショーツを、しばし凝視した男は嬉しげに少女の眼前に突きつけた。 「すっごい濡れちゃってるよ、ほら。見てごらん……」 「そんなの、見ないよ、やだ、やめてよ……」 顔を背けそうつぶやく少女は、よりいっそう顔を紅潮させていた。羞恥に染まった少女の表情に満足した男はにやりと笑う。 「声、出しちゃってもいいよ。”なーちゃん”のエッチな声、聞かせてよ」 男は数本あるバイブレータのうち、黒いやや小さめのものを手に取った。バッグの中からコンドームを取りだし、手早くかぶせると再び少女に脚を開脚するように促した。 「……」 何も言わず、顔を背けたまま少女の脚が開脚されていく。つややかさすら感じられる白い下腹部に、うっすらとアンダーヘアがけぶりすでに淫裂となった少女の亀裂が、鮮やかに彩られてむき出しになる。 「……ぐちょぐちょだよ、”なーちゃん”、もっと、ぐちょぐちょになるよ」 歌うような口調でつぶやいて、男は手にしたバイブレータを少女に見せつけるようにして、底部のスイッチを入れた。先ほど使用したピンクロータよりも、鈍く重い振動音と、先端が微妙な動きでくねりを見せる。かぶせられたコンドームの濡れたきらめきがおぞましさすら感じる淫靡さを見せていた。 「じゃあ……行くね」 厳かにささやいて、男は少女の淫裂にバイブレータの先端をあてがった。なぞるように、下から上に、じわりと押しつけるようにする。鈍い音が接触とともに変化する。 先端でかき分けるような動きは、淫裂に生じていた淫液をバイブの先端に絡み付けた。亀裂の上部に白く顔を覗かせている少女の淫芯にバイブの先端が触れて少女は鋭く腰を揺らした。 「……ん、やっ、あ、あんっ!」 びいん、と少女の背筋が伸び上がり、ルーズソックスに包まれたつま先が一瞬伸びて、丸められる。 「もうこんなに……クリがおっきくなってるよ、ほら、見てみて」 男のつぶやきに少女は言葉を返せずにいた。間隔を開けて触れる刺激に、幾度も腰を揺らし顔をのけぞらせる。 「や……んっ、あ、あ、あぁっ!」 声のオクターブが上がり、息づかいが荒く短くなっていく。 「気持ちいい? まだまだ気持ちよーくなるよ」 充分に淫液にまみれさせたバイブレータを、男は少女の淫裂に押し込んでいった。逆らうような締め付けとうごめくバイブの動きのために一気に、とはいかなかったが、じわじわと黒いバイブが淫裂に侵入していく。 「んぁっ……んーっ、くぁぅっ」 快感に脱力して、少女はぱたんとベッドに上半身を倒れ込ませた。メガネをかけた真面目そうな少女のきちんと制服を着たままの上半身と、膝を立てて開脚され、むき出しにされてバイブを押し込まれた下半身の組み合わせが異様な淫らさを演出する。 「ほーら、くちゅくちゅ言ってるね、”なーちゃん”聞こえる?」 挿入されたバイブをゆっくりと抽迭させて、男は羞恥を煽る言葉を口にした。少女の淫肉に包み込まれて、振動音はかすかなものになっていたが、代わりに溢れかえった少女の淫液をかき混ぜる淫音がずっと大きく耳を打つほどになっていた。 「やっ、だめ、あっあっ、音、立てないで、あ、ああんっ!」 羞恥と快感に身をよじりくねらせる少女の声に、男はふんと鼻息を漏らした。 「そんなこといったってなぁ~。”なーちゃん”がエッチだから、こうなるんだよっ」 うそぶいて男はバイブの威力を少し強めた。 「ほ~ら、もっと気持ちよく、なろうねえ、”なーちゃん”」 「あっ、やっ、つよ、く、しない、でっ、あ、あ、だめ、イッちゃうっ」 びくびくんっ、と少女の身体が小刻みに、鋭く震えて揺れた。つま先がびんと伸び、なすすべもなく宙をつかむようにしていた手のひらがぎゅっと強く握りしめられる。 「あ、あ、ああーっ!」 ひときわ大きくなった叫びの後、少女はぐったりと脱力してため息をついた。 しばらくして、次のバイブを握りしめた男に少女はのろのろと身を起こして男にうっとりと笑いかけた。 「ね、オジサン。オジサンの、入れて。本物がいい」 淫らさに満ちた少女の懇願に男はバイブをぽとりと取り落とした。 「えっ、あ、あは、あはは、そっかぁ、オモチャばっかじゃつまんないね、そうだよねっ」 ハイテンションな口調でガウンを脱ぐと、男はいそいそとコンドームを取り出しはち切れんばかりに隆起した分身に装着した。 「せ、制服着たまま、してもいいかい?」 今にも飛びかからんばかりの男に少女は軽く笑いながら、こくんと頷いた。 「でも、スカートだけ、脱ぐよ。いい?」 「もちろんだよ、しわになったり汚れちゃまずいもんね、いい、いい」 適当すぎる男の言葉を笑顔で受け流し、少女はスカートを取って下半身をむき出しにした。ルーズソックスをはいたまま、再び横たわると、大きく脚を開脚して男を誘う。 「……いいよ」 「……」 ごくり、とのどを鳴らすと男は無言で少女にのしかかった。 「ごめんよ……調子悪いのかなぁ」 暗い声でつぶやき肩を落とす男に、少女は優しく微笑みかけた。 「ちょっと興奮しすぎちゃった? でも、私でそんなに興奮してくれて嬉しいよ」 それまでのテンションはどこへやら、挿入してごくわずかで、男はびくびくと身体を震わせひとり達してしまったのだった。 「あはは、元気出してよ、ちょっと休憩しよっ」 少女のなぐさめに男はほんの少し元気を取り戻した。 「あは、あはは、そ、そうだね、まだ時間あるし……」 乾いた笑いをこぼしながら、男はもそもそとティッシュで下半身の処理をした。 乱れた髪をなでつけわずかにずれたメガネを直して、少女はごろんとベッドに横たわった。 「ね、オジサン。メッセでしゃべったとき、マスコミ関係の仕事って言ってたけど、ほんと?」 「えっ、そうだよ、マジマジ。いわゆる新聞記者ってやつ。でも、芸能関係とかじゃないから、多分”なーちゃん”が知りたいようなことはあんまり知らないよ」 唐突な少女の問いにきょとんとしながら、男はぽつぽつと言った。 「じゃあ、どんな取材してるの? なんか、事件とかそういうのかな?」 興味津々といった体の少女の表情に、男は自分が今どこにいて何をしていたのかを忘れてしまったようだった。 「よく分かるねえ、そそ、これでもさ、警視庁とか回ってるんだよ、どこの会社とかは言えないけどね」 「そうなんだ、すっごーい」 感嘆の声を漏らす少女に男は自信満々の表情で胸をはった。 「ま、それほどでもないんだけどね」 「そうだ、あのね、ちょっと気になってることあるんだけど、オジサンなら分かるかな?」 男は怪訝そうな顔になった。 「なんだい? ボクに分かることかな……」 「あのね、何日か前に、ニュース速報でなんか、中野の方でマンションの爆発事故があった、とか出てたじゃない? でもそれっきり何にもニュースとかでもやらないし、どうしたのかなーって気になって。もしかして、間違いとかなのかな?」 少女の問いに男は一瞬表情を曇らせた。 「あー、その件かぁ、確かに第一報は出したんだけどね……」 だが、その後記者クラブにて報道自粛の要請がなされた。完全に箝口令が引かれているらしく、どんなに探っても壁に当たってどうすることも出来なかったのだ。 「……もうさ、ずっと仲良くしてる警視庁の人に聞いても全然答えてくれなくてさ。これ、”なーちゃん”だから言うけど、先輩がね、なんか公安関係の事件じゃないかって言うんだよね」 男の言葉に少女は一瞬眉を跳ね上げた。 「コウアン関係って?」 「んー。あのね、ちょっと”なーちゃん”には難しい話かも知れないけど、ほら、スパイとか、政治関係のなんか裏がある話なんじゃないかって言うんだよ」 「ウラのヤバい話ってこと? そっかー、そういうのってほんとにあるんだー?」 脳天気に見える少女の問いに男は思案顔になった。 「そうなんだよね、デスクからも、もうこの件は終わり、首つっこむなって言われちゃってさ。だから、あー、先輩の言ってたのマジなんだって。爆発もなんか、普通のガスとかの爆発じゃなくて爆薬かなんか使われてたらしいし、それに現場からさ、男性の遺体が発見された、って話もあったんだけどねー」 「えっ、死んだ人がいるの? 怖いなぁー。それって、そこに住んでた人なんでしょ?」 軽く目を見開いた少女の顔を見つめながら、男は耳を指でほじりながら背中をかいた。 「うん、第一報の時点で近所の人とかに聞き込みしたんだけど……」 爆発事故のあったマンションの部屋に初老の男性が住んでいたという証言があった。普段あまり顔を合わすこともないので、その男性のことはよく知らないが、確かにその部屋に住んでいたようだとも。少し暗い印象だが、真面目そうな雰囲気の男だった、とそのマンションの他の階に住む住人は語ったということだった。 「……」 男の言葉を聞いて少女の表情が硬く、翳りを帯びた。 「あ、ごめんね、こんな話やだよね、ごめんごめん」 少女の表情の変化に独り合点した男は慌ててそう言った。 「ううん。ありがと、オジサンに聞いてよかった」 少女は笑顔を浮かべた。だが、その笑顔はそれまでの少女が浮かべていたものとは全く違う種類のものだった。 身を起こすと少女は、着ていた制服を男がいるにもかまわず脱ぎ始めた。あっという間に、ブラだけを身につけた状態になる。 「ど、どうしたの?……」 「ごめんね、もう帰る」 冷然とした少女の口調に男は泡を食った。 「え、いや、あの、ちょっと待ってよ、まだ約束の時間まで間があるよ」 立ち上がって少女は男をあざ笑うような表情で見た。 「もういいよ。今日はおしまい」 侮蔑の笑みを見せつけるようにして、少女は脱ぎ捨てられていたショーツを掃き、元々着ていた服に袖を通す。 「お、おい、待てよ、金払っただろうが」 最初あっけにとられていたが、テンパって声を荒げた男に少女は全く動じなかった。 「だから、何? 松本孝史さん。一流新聞社の、それも警視庁番とかの記者さんが、おカネ払って女子高生とこんなことしててもいいの?」 少女は続いて男、松本が勤める新聞社の名前と、自宅の住所、電話番号をすらすらと口にした。 「な、な、何で、それ、を……」 顔色がすっと青ざめる。呼吸停止寸前の表情で、松本はぱくぱくと口を開いた。シャワーの時に身元を調べられたのか? いや、自分の身元を証明するようなものは一切ホテルに持ち込まなかったはずだ。なのに何故、この少女は自分の身元を知っているのか。 あり得ない事態に正常な思考が出来なくなって、松本は自然と逆ギレしていた。 「な、だから何だってんだよ? 警察に言おうってか、あのな、お前だって売春で補導されるんだぞ、学校だって退学に……」 少女は松本に最後まで言わせなかった。 「誰が警察に言うって言ったの? そんなつまらないことしないよ。あのね、言っとくけどオジサンが会社のPCで私とメッセした時の会話のログと、IPアドレス、後はオジサンのPCでメッセが動いてる時のスクリーンショットとか、全部抜いて保存してあるから。……別にエンコーするのは勝手だけどさ、会社のPCでやるのは、まずいんじゃないかなー? 他にもいろんな女の子とエンコーしてたっしょ?」 「な、な……」 松本は愕然としてうめき声を漏らした。 「……普通なら出来ないんだけど、私には出来るんだよ。オジサンのPCに入ってた面白そうなデータ、ぜーんぶ抜かせてもらいました。だめじゃん、あんなに可愛い奥さんと子供がいるのに、あちこちの女子高生とエンコーしてハメ撮り画像とか撮ってちゃ。悪いけど、私の言うとおりにしてくれないなら、私のも入れてエンコーしてた証拠のデータを全部、松本さんのおうちと会社に送るよ?」 松本は気絶しそうな表情で床にへたり込んだ。マイドキュメントに保存してあった家族の写真すらも見られたのだと直感的に理解したのだ。 「そうそう、ここに入ってからの会話とかも全部録音してあるからね。じゃ、着替えて。帰ろ」 トートバッグから取り出されたICレコーダーをひらひらと手にして、にこやかに笑った少女に、松本はうなだれて力なく頷いた。 ホテルを出て、がっくりとうなだれ暗い表情をした松本に別れを告げると、少女は渋谷駅方面に歩き出した。トートバッグから携帯電話を取り出し、電話をかける。だがすぐに無言のまま表情を曇らせると携帯を閉じてバッグにしまい込んだ。 「……ユリカのやつ、あれほど適当なとこでバックれちゃえって言ったのに、また人の話聞いてないなぁ」 一人ごちると、少女――黒河奈々瀬は苛立たしげに髪をかき上げ、待ち合わせに指定していたコーヒーショップに向かうことにした。 奈々瀬がその店に入ってから40分ほど、時間つぶしに読み出した『鬼平犯科帳』の文庫本を半分ほど読み進んだ頃、待ち合わせの時間ぎりぎりにその少女は現れた。 身長は小柄な方で、緩やかにウェーブのかかった明るい茶色の髪をツインテールにしている。くりくりとして丸っこい少女らしい顔立ちはまるで人形のようで、それを余計に際立てるようなロリータファッションで身を包んでいる。 「奈々ちゃんごっめーん、待ったぁ?」 耳を疑うような脳天気な声で謝罪の言葉を口にする少女――赤澤ユリカに、奈々瀬は読みかけの文庫本を閉じた。 「遅い! あんた私があれほど口を酸っぱくしていったのに……」 「ごめんごめん、怒んないでよー。だってさぁ、すっごいイケメンだったんだもん、エッチも上手だったし……ユリカ、いっぱいイカされちゃったよぉ……」 奈々瀬の隣に腰掛けてうっとりと無邪気につぶやくユリカに奈々瀬は憮然として口を尖らせた。 「何それ、ムカツク! 私がそっち行けばよかった……。私なんかしょぼいオッサンが相手だったのに」 奈々瀬が恨み言を口にすると、ユリカは意外そうに目を丸くした。 「え、そうなんだぁ? ユリカのオジサンよかったよ、ポルシェでぶいーん、てやってきてね、お台場のホテルまでドライブしたんだよ。エッチも丁寧だったし……」 夢を見る口調でささやきながら、ユリカ少女は胸の前で両手を握りしめてくねくねと身をよじった。 「あっそ。私なんかあれだよ? ホテルは道玄坂だし、バイブでねちっこいのはよかったけど、後がサイアク。入れたかと思ったらアーッッ!!でおしまいなんだもん、バカにしてんのかって感じ。あんなのでも結婚して子供作れるんだね」 松本が聞けば卒倒しそうなことを口にして、奈々瀬は表情を改めた。 「……で、なんかつかめた? 安田のオジサンのこと」 奈々瀬の問いにユリカは宙を見据えてぷるんとした唇に人差し指を当てた。情報を収集するため、ユリカが奈々瀬同様に捕まえたのは、テレビ局の報道の人間だった。 「んー、あのね、爆発事故はあったんだけど、キシャクラブ? とかっていうのでホウドウキセイって言うのがかかったんだって。それでね……」 ユリカの話は奈々瀬がつかんだ情報とほぼ一致した。だが、それ以上に興味深い情報がユリカの口から飛び出し、奈々瀬は眉をひそめた。 「何それ。車で走っていった女って?」 爆発事故のあったマンションから、女が運転する車が急発進するのを見た付近の住民がいたのだという。しかも爆発の直後、ということだった。 「ビンゴ、かもね」 奈々瀬のつぶやきにユリカは口をへの字にした。 「その女の人が安田のオジサンが言ってた、”オーガスト・ムーン”なのかな?」 ユリカの問いにすぐに答えず、奈々瀬はブラックコーヒーをすすって、小さくため息をついた。 「間違いない、と思うよ。車の車種はスカイラインだったんでしょ? 安田のオジサン、いつもスカイラインで来てたじゃん」 ユリカは急に寂しげな表情になった。 「じゃあ、やっぱり……。安田のオジサン、死んじゃったのかなぁ……?」 ユリカの言葉に、奈々瀬はしばらく無言で、何も存在しない宙の一点を見つめていた。 「そう……考えるしか、ないじゃん。だって、だってさ、電話してもつながらないし、メール打っても全然返ってこないじゃん……」 少ししてつぶやいた奈々瀬のメガネの下の瞳はかすかに潤んでいて、ユリカはいつもクールな少女が感情の発露を懸命にこらえていることに気づいて奈々瀬からそっと視線を外した。 「……”オーガスト・ムーン”を探さなきゃ」 ややあってぽつりと漏れた奈々瀬の言葉に、ユリカは視線を戻した。 「奈々ちゃん……。どう、するの?」 「安田のオジサン殺したの、多分”オーガスト・ムーン”だよ。証拠なんかないし、もしかしたら、直接手を下したわけじゃないのかも知れない。でも、でもね、きっと”オーガスト・ムーン”が何か失敗したから、安田のオジサンが死ぬことになったのかも、知れないじゃん」 怒りにまみれた奈々瀬の言葉に、ユリカは顔を青ざめさせた。 「奈々ちゃん、でも……安田のオジサン、最後に来たとき言ってたじゃない、自分に何かあったら、”オーガスト・ムーン”を助けてやってくれって……」 ユリカの言葉に奈々瀬はきっとした視線を向けた。 「そんなの……そんなの関係ないよ。私に必要なのは、安田のオジサンなの。安田のオジサンが、もう、いないなら、私はその原因を作った奴を許さない」 奈々瀬はそう言うと小さく鼻をすすってかすかに潤んだ目を大きく見開き、、おろおろとする親友の瞳をじっと見据えた。 「私は”オーガスト・ムーン”を探すよ。探し出して、安田のオジサンがどうして死んだのか、聞き出さなきゃ。……もし、私が思ったとおりのことがあったなら、私は”オーガスト・ムーン”を殺して安田のオジサンの仇を討つ。必ずね」 奈々瀬は毅然とそう言って、下唇を噛みしめた。 静かだが凄惨な迫力をたたえた表情をした”ノワール”黒河奈々瀬の姿に、”ルージュ”赤澤ユリカは再び絶句した。 (AugustMoon・第4話 終)
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男はわずかな荷物を持つと村を出た。 村の者は一様に復讐など無駄だと言ったが、男は聞かなかった。 鉈と短筒を腰に下げ、河童に頼み作ってもらった散弾銃を背負い、 森に入っていった。 「ゆっくりしていってね」 男は森に入るとすぐにゆっくりれいむに声をかけられる。 しゃがみこみ、ゆっくりれいむの顔を覗き込む。 「ゆ?あんまりみつめないでね」 「ドスまりさ、そいつの場所に案内しろ」 「ゆ・・・ドスはれいむたちのリーダーだよ。しんようのあるひとにしかあわせないよ」 鉈を抜き、ゆっくりれいむの頬に当て 「安心しな。俺は気が長い。ゆっくり聞いてやるよ。まずは頬だ」 すっと刃を引く。 饅頭の皮が斬られる。しかし、その傷が極浅かった。 浅い故にその傷は熱と痒みを持ち、ゆっくりれいむを一層に苦しめる。 「ゆぎぃ、いだい。なにごれ、がゆいじいだい」 木の幹に頬をガリガリと擦るゆっくりれいむ、次第に傷が深くなり餡子が漏れ出す。 「焦るなよ。これからだ。それにお前が死んでもどうせこの森にはゆっくりがたくさんいるんだ」 「いだい、おにいざん」 「痛くしてるんだ。君は誰かを傷つけた事がないのかな?それは幸せな人生だ」 「いだい・・・だずげで、あんごがれいむのあんごが」 「ドスまりさの居場所を教えろ。そうすりゃ、傷を塞いでやる」 「いうよ、いうがらはやぐなおじで」 ゆっくりれいむの目はまるで死んだ魚の目だ。 「先に言え」 「ゆぐっ!!ゆぐっ!!・・・」 二回ほど大きく痙攣し、ゆっくりれいむは動かなくなった。 「クソッ」 男はゆっくりれいむの死体を蹴り上げ、森の奥へ進んだ。 村では大騒ぎになっていた。男が復讐のために森に入った。 「ああ、何て事をこれで約束も終わりだ」 「バカ、それ所じゃねぇ。殺されでもして見ろ」 「あいつ、死んでも俺達に迷惑をかける」 「そんな事より、夜があけたら森に入るぞ。こっちはせっかく掴みかけた希望なんだ」 村人達は明け方、農具や竹やり、大げさなものは猟銃や刀まで持ち出し森に入った。 夜、男は森の中で焚き火をしていた。 この森には狩りで二度入ったが、こんなに広いとは思っていなかった。 男は懐から一枚の写真を取り出す。随分前に天狗が撮ってくれた物だ。 男の隣には一人の女性が立っている。綺麗な着物を着ているが、女がその着物を着たのはそれが一度きりだ。 笑顔の男に対して女は少し不満そうにしている。だが、二人の頬はリンゴのように真っ赤だった。 身分不相応な恋だと言われたが、二人にはそんなもの関係なかった。 しかし、女は殺された。酷く痛めつけられた様子で村の者が見つけた頃にはもう衰弱しきっていた。 二日後、森にいるゆっくりの群から使者がやってきた。 群の中にはドスまりさと言う大きなゆっくりがおり、それはもう人間すら殺せるようなゆっくりらしい。 男はふと自分が眠っていたのに気がつく。 写真は懐の中に入れておくから、いつのまにかしわくちゃになってしまった。 「もうすぐお前の所に行く。そのためにはあいつを殺さないといけない」 男はふと父に宛てた手紙を思い出す。 「あれがあれば、村人も助かる。俺が生きていなくても、お前の所に行っても」 行動を開始したのはそれから少し後、森を朝靄が覆う頃だった。 何匹もゆっくりを殺し、とうとうドスまりさの居場所を聞き出した。 最後のゆっくりまりさは少し拍子抜けだったが、 畑をやるといえばホイホイ話した。 なるほど、どこの世界にも下衆はいるもんだ。 ドスまりさの隠れ家は熊やもっと獰猛な何かが潜んでいそうな洞窟だった。 男は背中の散弾銃を取り出す。猟に使うような生易しいものではない。 明確な殺意を込めて作られた。道具ではなくこれは武器だった。 この日のために何度も練習した。最初は不慣れなボルトアクションに苦労したが、 今では手足のように使いこなせる。 巨大なゆっくりならばライフル銃よりも散弾銃の方が効果がある。 男は自分に言い聞かせ、洞窟の前に立つ。 「おい、ドスまりさ、俺はお前に殺された女の!!」 激闘だった。妖怪でもないただの人間、それもたった一人。 ドスまりさは短筒の弾を目に喰らい、死角を作られそこから執拗に攻撃された。 男も体当たりで肋骨は折れ、体中傷だらけになり満身創痍だった。 「にんげんはドスたちとむれをおそわないってやくそくしたよ!!」 「知るかよ。俺はお前さえ殺せればそれで良い。あいつの仇さえとれりゃそれで良い」 「ゆ?あのバカなおねーさんだね。でも、にんげんはころしてももんくいわなかったよ」 「そうだ。あいつは良くない生まれだ」 男は嫌そうにドスまりさの言葉に答える。 「身分不相応って何度も言われたさ。だけどな、俺たちには関係なかったんだ」 「ドスにもかんけいないよ。そんなこと!!」 「じゃあ、殺しあおうぜ。約束も人間も何もかも関係ない!!」 ドスの体当たりを受け、男は崖から落ちていった。 最期に男が放った散弾はドスパークを撃つ要である口を使い物にならなくした。 「ドス。ここに男が来なかったか。そう若い男だ」 「ぎだよ」 「それでその様か、で、男はどうした?」 村の代表はドスまりさに尋ねる。お互いに約束事を決める時に何度も会っている。 それにあの女を殺した時に許してくれたのもこの代表だった。 「がげがらおぢだでじんだよ」 「やっちまったな」 代表の声が終わる前に誰かがドスまりさに向かって竹やりを投げた。 「やめんか、まだ話は終わってない」 「だけどよぉ、こいつは殺しちまったんだろ?」 「ぞんぢょう」 「なんだ、ドス」 「あのおどごはやぐぞぐをやぶっだよ。どずのむれにだべのもをもっでぎでね」 「そういう訳にはいかんのだ。あいつの父親は町でも有力な商売人だ。その父親主導で今度うちの村を立て直すことになった」 「どずのむれにだべもの」 「それをお前たちは頓挫させてしまった。もう誰もお前との約束なんか守らないよ」 「でも、あのおねえぁんをごろじだどぎは」 「お前らには分からんだろ。人はな。平等ではないんだ。大事にされる者もいれば蔑ろにされる者もいる」 村の代表がそう言い終わると、若い男達が寄って集ってドスまりさを襲った。 ドスまりさは死んでいく中で思った。 人間は乱暴で身勝手で約束を破って差別をして、本当にゆっくりできない生き物だ。 「おまえだぢは・・・ゆっぎりでぐ」 「ああ、人は働かなければならない。作り、育て、売り、伸ばし。お前達のように短絡的には生きられんのだよ。忌々しいお化け饅頭め」 ドスまりさは人間と関わった事を後悔した。 崖の下は川だった。 男は奇跡的に水辺に流れ着く。 目を覚まし、近くにいた者にここは三途の川の川辺だろうかと尋ねる。 「まさか、とにかく無事で何よりだ。まりさにお礼を言ってやれ。君を見つけたのはあいつなんだ」 しわくちゃの帽子をかぶったゆっくりまりさは少し自慢そうに笑っていた。 by118 このSSに感想を付ける
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+... ↑BGM クリックすると再生されます 無数に存在する“空間”。 それを支配していく“時間”。 薄暗い光の中、辺り一面には明るい闇が広がっていた。 ―――――それは天国でも地獄でもなく、どこでもない。 そんな場所が――――――――…… 確かに“ここ”には存在しているのだ。 中央に二つの影が見える。 男と少女が、楽しそうに遠くを見据えていた。 父と思われし男は少女を抱きかかえ、笑みを浮かべる。 そして―――――― その男が手を挙げた瞬間、明るい闇は一瞬にしてとある“景色”へと変化したのだった。 ――――――――ほら、“見てごらん。” “これが数多くの世界の内の一つ、『混沌世界』だよ”――――――――――――…… ―――――――抱きかかえられた少女はただ、遠くに映し出される景色を輝かしい表情で眺めている。 『わぁ…!! ……綺麗だなぁ、行ってみたいなぁ……… 。』 その反応を見て、男は嬉しそうに……――――だがその反面、寂しそうな声色で呟いた。 ―――“お前はまだ幼いから、地上で何が起こっているかが理解できていないのだね。” ―――――――反抗期故か、少女は膨れっ面で父に言い返す。 『――――! 何が起こってるかなんて関係ないよっ!人間になってみれば分かるハズだもん!』 男は慈悲深い表情で少女を見つめ、頭をそっと撫でた。 少女はそれが一体何を意味しているのかを汲み取ったのか、しゅんとした表情へと変わっていき――――――――…… 『人間になってみれば―――…… きっ と、分 かる はずだ も ん ……… ――――――人間には、人間の都合があるんだ…… きっと… 。』 そう “呟いた” 。 男は少女を降ろすことなく、こちらを向かせ ……優しく抱きしめながら、ただ……… こう告げる 。 “そこまで言うのなら分かった。お前がもう少し大人になったら征っても良いだろう。” “だが私は“向こう”には渡れない。 ……いいかい?” つまり――……“独りで征かねばならないのだよ、『 』”――――――――…… 『それでも…いい。 一人でも……いいから… 征って…みた い……… 』 “寂しくはないのかい?” 『寂しいけど…それでも、それを乗り越えてでも…… 探したいものがあるの。触れたいものが ……あるの。』 “そうか”――――…… ははっ… お前も成長したんだな、『 』…… 。 『お父さん、ごめんなさい――――……』 “いいんだよ… お前がこうやってどんどん大きくなっていくのを見届けるのが、私の“役目”なのだから”――――……… ―――――そんな会話を交わしながら……二人はそっと、安からに…… 目を、閉じる――…… 。 ―――――――――― A d r a s t e i a ―――――――――― ―――――――― 遁 れ ら れ ざ る 運 命 の 女 神 ―――――――― ――――歯車が、静かに廻り始める音がした。 “ 幸 ” か “ 不 幸 ” か …… い い や 、 “ そ れ と も ” ――――――――……… 《 The weaver of the universe usesboth strings... if this is the reason we call them destiny.. 》 《 Oh... Goddess... What kind of world will thou weave? 》 Adrasteia ― 遁れられざる運命の女神 ― へ戻る
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GWはデート 作詞/56スレ49 朝は元気に 築地でデート 4日半値市(よっかはんねいち) 場外で買い物 玉子焼きおいしいね 点心も買い食い 明太子安いよ ちょっと豪華に殻つきホタテも 昼はやっぱり 銀座でデート デパチカ覗いて スィーツを選ぼう 中国茶おいしいね パーラーもいかすね 歌舞伎座で一幕 ちょっと芸術かじってみようか 夜はしっとり 三茶でデート キャロットタワーで 夜景を眺めてさ 菫ソーダおいしいね いつものカフェでさ 雑貨店冷やかし ちょっとそこまで歩いてみようか
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下町ボブスレープロジェクトの公式ツイッターには、公式アカウントとしての意識が低い点が複数見受けられる。 ①公式アカウントにも関わらず、無差別にユーザーをフォロー 基本的にツイッターでは、公式アカウントは、自分の企業に関連するアカウント、あるいはコラボしたコンテンツのアカウントしかフォローしない。 しかし下町ボブスレーのアカウントは、下町ボブスレーについて呟いたアカウントを無差別にフォローしていた。 また、複数のまとめブログをフォローしている。 ②韓国に対する蔑視を感じさせる発言 韓国を侮蔑する意図を感じさせる記事をリツイートしている。 ③まとめブログに関するツイートをリツイート デマ・捏造の記事を書くことで有名な、はちま起稿やnetgeekの記事をリツイートしている。 また、はちま起稿と同じく、デマ・捏造の記事を書くことで有名なオレ的ゲーム速報をフォローしていた(現在は削除)。 まとめブログの記事をリツイートするのは、公式ツイッターとしていかがなものか。 ④公式アカウントなのに、認証住みマークを付けていない ツイッターには、アカウントの持ち主が本物の有名人・グループであることを証明するマークをつける機能がある。 しかしこのアカウントは公式アカウントにも関わらずマークを付けていない。
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幸い誰もいないため、自分が狙われていることは誰にも知られてはいない。 走り、走り、走り、走り、ただ走った。スプリンクラーが雨の如く降り注ぐ廊下を走る。 階段に到達した頃には、もう体力はほとんど残っておらず、心臓も破裂しそうだった。 どれだけ階段を上ったのだろうか?何段階段を上がったのだろうか? 脳の感覚が次第に薄れていき、生きることに対する気力すらも薄れていく。 そして、一つの疑問に突き当たった。 この女を助ける必要はあるのだろうか、と。 この女は、存在意義があるのか? この女は、僕を殺そうとしたのに、助ける必要があるのか? だが、ここで人を見捨てれば、じいちゃんはなんと言う? 逆に、僕が死んだら、ばあちゃんは、どうなる? 「大体分かっているよ。」 無駄に広い校舎は四階建てで、東館と本館に分かれている。今いるのが東館。 東館は比較的、老朽化が進んでおり、一部の教室は倒壊の危険があると言う噂が流れたくらだ。 本館から運動場に向かえば、とりあえずは外にいる警官に保護される。 その本館に向かう通路は、三つ。1階と今いる2階に二つ。だが、引き返せないため1階にはいけない。 助かる可能性が見えてきて、内心ほっとしていた。通路までは百メートル弱。百メートルは13秒台で走ったことがある。 「・・・嘘だろ・・・。」 『防火扉』と書かれた金属の壁は、見事に本館へと向かう通路を塞いでいた。 背後からは、金属バットを引きずるフルフェイスヘルメットの襲撃者。 もう無理だ。どうやら、ここで殺される。希望も無くなったためゆっくりと目を瞑った。 「ゆっくりと死なせてもらう。」 じいちゃんとばあちゃんには悪い事をしたと思う。自分達より先に子供にも死なれ、孫にも死なれ。 出来れば、二人には悲しませたくなかった。 僕が死んでも、存在意義がない世界は時と共に動き続ける。 パァァァァン 銃声が聞こえた。撃たれたみたいだ。 だが、痛みは感じていない。 不思議な感覚。 不思議な空間。 あれ? そういえば、こいつ銃持っていたっけ? ゆっくりと目を開けた。 どうやら、被弾してない。と言うよりも、襲撃者の肩から血が噴出していた。 少女気絶したままなので撃っていないはず。 「おいおい…ガキ相手にクレイジーすぎねーかァ?」 目の前にいたのは、黒いテンガロンハットを被った金髪頭の男。髪の毛を後ろで結んでいる。 格好は余りにも周囲と適応していない、カーボーイ風の服装。恐らくアメリカ人だろう。 「クソ!!新手か?」 「おいおい、落ち着けって。このビリー・ザ・キッド様がガキを殺すわけねーだろ。」 ビリー・ザ・キッド? あの、伝説のガンマンのビリー・ザ・キッドのことか? 赤毛の女みたいにイタイ奴が他にもいるのかよ… とりあえず、警戒はしないとならない。嘘をついている可能性だってありえるから。 この男は銃を持っているようには見えない。 つまりこの男は、この男がおとりで、遠くから狙撃している。 「さぁ、どうする?下衆野郎。」 ◇ 【学校昇降口爆発数分前から爆破後数十分後までのお話。】 (所有者の命令と言えど、さすがに暇だ。) 赤毛の女ことボニー・パーカーは、貧乏ゆすりをしながらベンチに座っていた。 所有者の命令は絶対。そのため、どんなに辛くても、待っていないとならない。 さすがに、誰でもそんな事を命令されたらひまで仕方が無い。 「てめーも精霊なんだろ。」 ボニー・パーカーは、背後から掛けられた声に驚きながらも身構えた。 自分の事を精霊と知るもの――――すなわち他の精霊 殺し合いをするゲームに巻き込まれている精霊。どんな奴かは分からない。 それがもしも、最も狂った殺人兵器や、肉を啄ばむ獣であるかもしれない。 しかも、ここは一般人が行きかう高校。下手をすれば一般人が巻き込まれる恐れだってあるのだ。 「戦うつもりはないのだがな。」 「そんな、甘えーこと言っていたら、死ぬぜ。」 テンガロンハットを被った男の精霊は、人差し指をこちらに向ける。 ボニー・パーカーも身構えると同時に、固有能力を発動させようとした。 だが、その行動は余りにも遅すぎた。 銃声と共に、腕に真っ赤な穴が開く。 「俺様の能力は『空気銃』てわけだ。」 「…わざわざ、能力を言ってもらえて私も光栄だな…。」 ボニー・パーカーは固有能力を発動させようと構えた。 が、固有能力は発動できなかった。 地響きと共に、爆音が鳴り響いた。破片と煙が飛散して、非常階段からは数人の生徒が降りてくる。 このまま、能力を発動させると一般人に犠牲者が出る。そう、ボニー・パーカーは気づいたのだ。 「これは貴公の仕業か?」 「俺様がこんな卑怯なことするかよ!?」 【2012 6/2 Saturday“greed”GAMESTRT】 ◇ 「さぁ、どうする?下衆野郎。」 ビリー・ザ・キッドと名乗った男は、人差し指を向けて鉄パイプを持つ襲撃者の行動を制止している。 襲撃者は鉄パイプを床に落とすと、ポケットから爆破物らしきものを取り出すと地面に叩き付けた。 爆破物からは、尋常じゃないほどの光と雑音が放たれる。 襲撃者が投げたのはスタングレネードと気がついた時には、視界が奪われていた。 目が痛い。失明しそうだ。やばい、攻撃される。 ここはどこだ? さっきまで広がっていた、後者の風景とはだいぶ違う風景。 血まみれで倒れる男性と女性。それを見下す、細身の男。それを呆然と見詰める少年。 見たことのある風景。思い出したくもない、あの日の風景と同じだと言うことはすぐに気がついた。 倒れているのは、関香澄と関智明。僕の父と母。 「パパ…ママ…なんで…。」 呆然と立ち尽くす少年はそう呟いた。 見下すようにたっていた細身の男は、ゆっくりと少年を向いた。 それ以上、言って欲しくはない。もう、思い出したくはない。 「何故?何故、お前は理由を知りたがる?」 これ以上聞きたくない。 僕は耳を懸命にふさいだが、無情にも声は耳へと伝わっていく。 「では、何故、お前は生きている?その理由を知りたいか? 何故、こんな世界がある?それも知りたいか? おまえの両親が死んだのはその理由と同じ。理由などに価値はない。」 うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ◇ 「おい、大丈夫か!?」 そんな声が、僕の目を覚まさせてくれた。目を開けるとあった世界は、病院のベット。 病室にいたほかの患者も不思議そうな顔でこちらを向いていた。 つまり、あの日の夢を見てうなされていたと言うことは明白なわけである。 「南雲市警察捜査係の伊達原浩二だ。ちょっとお話を聞かせてもらえるかな?」 南雲市東高等学校爆破事件。 ワイドショーでも取り上げられるほど有名な事件になったらしい。 僕はつまりその重要参考人になれたわけだ。まぁ、逃げ遅れの手前仕方が無いことだろう。 やましい事だらけだが、まぁ適当に話を作って答えるようにはしておいた。 伊達原巡査長は一礼をすると、病室の外へと出て行く。 あの少女はどうなったのか? あの赤毛の女はどうなったのだろうか? と言うより、身動き取れないけど襲撃されないのか? 心配な事だらけで困ってしまう。 「勝宏!!奇遇だな!!久しぶりに会ったじゃないか。」 真っ黒な天然パーマの頭に、気さくな性格。これだけでもう誰かということはわかってしまった。 関春翔――――僕の兄貴であり、二年前に上京して、一流企業に勤めていると聞いた。 『病院では静かに』という、暗黙の了解を破り、他の人に白い目を向けられているが、僕にとっちゃ最高のバカ兄。 優しくて、明るくて、気さくで、非凡な才能を持っていて、まるで僕とは真逆。 故に、ガキの頃からの憧れでもあり。コンプレックスでもあった。 「兄貴?東京にいるんじゃなかったのかよ!?」 「お前にあいにく途中で、事故ってな。なんと相手はヤクザ。んで撃たれちまった。」 兄貴らしいドジだ。久しぶりに再会できた兄はまったく変わってはいない。 嬉しかった。父と母が殺されたときでも、兄はただ一人僕を励ましてくれた。 相談してみようかと迷った。だが、やめておいた。 じいちゃんやばあちゃん、そして兄は、あのふざけた殺し合いには巻き込ませない。 そう決めた。 「ハハハ。どういう状況だよ!!!」 笑えるだけ幸せだ。 今はその幸せを十分にかみ締めて、後の事を考えていこう。 【2012 6/2 Saturday 関勝宏 続行中】 【2012 6/2 Saturday 他三名 不明】
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今回、前作以上に見た人がちょっと不愉快になるかもしれません。 清濁併せ呑める方だけ、見て下さった方がいいかも。 続、愛でスレ的ゆっくり加工場 加工場に冬が訪れた。 「ゆ!ゆきだよ!」 「つめたくてきもちいいね!!」 「わかるよー!」 れいむにみょん、ちぇんたちが嬉しそうに雪の積もる牧場を跳ね回る。 加工場の主である男は、部屋の窓からそれを微笑ましく見つめていた。 「げんきね、みんな……。」 側にいたありすが呟く。その声には、憂いが満ちていた。 もう、そろそろなのか。 男はありすを見る。心なしか髪に艶が無い。 数ヶ月前に亡くなってしまったまりさと同じ頃に生まれたそうだから、 仕方のないことだった。 「おにいさん。」 ありすが語り掛けてきた。 「ん?どうした?」 「ぱちゅりーがしんだのも、こんなひだったわね。」 「……ああ。」 ぱちゅりー。ありすとまりさと一緒に、ここにやって来たゆっくりだっ た。 だが、生まれつき体の弱かったぱちゅりーは、まりさよりも先に死んで いた。懐かしいのか?……それとも、今の自分と重ね合わせてるのだろ うか? 「わたし、いまだにわからないの。」 ありすは振り絞るように言う。 「なんで、ぱちゅりーはだれにもたべられたくないっていったのか。」 「ゆ!おにいさん、たいへんよ!!」 突然、闖入してきたのは、ゆっくりしていないゆかりんだった。 「お、おい、どうした?」 「いえのまえで、みなれないひとがたおれているわ!! はやくたすけてあげてね!!!」 「分かった!……すまん、ありす。話は後だ。」 「うん。……できればはやくかえってきてね。」 部屋をでて走り出した男は思う。 ――俺は、ありすの最期に間に合うだろうか、と。 雪をかぶった牧場の入口には、まだ若い女性が倒れていた。 脈を取ると――まだ大丈夫だ。生きている。 しかし、それにしてもなんて軽装なのか。 こんな状態でこの豪雪地帯を行く、なんていうのは、自殺行為と しか思えない。 ひとまず、女性は空き部屋の布団に寝かせておくことにした。 「帰ったぞ、ありす。」 男はありすのいる部屋の扉を開けた。 ――まだ生きていることを信じて。 「ゆ……。おかえり、おにいさん。」 よかった。生きている。 「遅くなってごめんな。」 男はそう謝り、話を切り出した。 「それで、……ぱちゅりーのことだけどな。」 「ゆ……。」 「俺は、あいつが食べられることを嫌がったのは、 きっとお前が食べられたいと思うのと同じ理由だと思う。」 「……わからないわ。」 「……俺にも良く分からん。つまりは、あいつが何でだか望んだ ことなんだろう。アイデンティティーってやつだ。」 「あいでんてぃてぃー?」 「自分が自分である為に必要な何か、ってところか。 それを格好つけて言っただけだ。人間てのはそういうのが好きなんだよ。」 思いついたように、ありすはポツリと言った。 「ぱちゅりーは、にんげんになりたかったのかしら……?」 「かもな。……本当の所は、あいつにしか分からないだろうけど。」 それから少しの時間が経って。 ありすの命の灯火は、ゆっくりと燃え尽きようとしていた。 「おにいさん。……もうすぐ、ずっとゆっくりするわ。 まりさやぱちゅりーといっしょに。」 「ああ。」 辛い。逃げ出したい。何度もそう思った。 だけど、男は逃げ出すことだけは出来ない。 それが俺の下らないアイデンティティー……みたいなものだからだろう。 「ねぇ、おにいさん。たのみがあるの。」 「なんだ?」 「わたしのかすたーど、さっきゆきだおれてたひとにたべてほしいわ。」 「……そうか。分かった。」 「そのひとがかすたーどぎらいだったらべつだけどね。」 「はは、そうだな。そんときは、俺が食べてやるよ。」 「ありがとう、おにいさん。 ……ああ、やっぱり、ぱちゅりーはへんなこだったわ。 だって、たべてもらえるのはこんなにあんしんできることなのに……。 しぬのもこわくないぐらい……。」 そして、ありすは喋らなくなった。 「……さようなら。あいつらと、ゆっくり仲良くしろよ。」 女が目を覚ますと、そこは見慣れない和室で、女は布団の中にいた。 ――馬鹿だなぁ、私。 女はまず、そう思った。 一応の準備はしたとはいえ、衝動で冬の山を登るのはあまりに無謀だった。 散々迷い、空腹に耐えながら「あの場所」を探していたが、遂に行き倒れと なった。 普通ならそのまま凍死してしまう所だが、運が良かったのだろう。 人が居そうな牧場を見つけた。 しかし、持ち前のド根性でどうにか入口までは辿りついたものの、 安心すると同時に気を失ってしまったのだった。 「でも、ここ、何処なんだろ?」 「ここはれいむたちとおにいさんのいえだよ!!ゆっくりしていってね!!!」 「うわっ!」 いつの間にか、枕元にゆっくりれいむがいた。 人に飼われているらしく、毛並みというか、キューティクルがいい。 そのせいか、思わず女はこんなことを口走ってしまう。 「ね、抱っこしてもいい?」 「ゆ?……いいよ!おねえさんは ゆっくりできるひとみたいだし!!」 体を起こした女はれいむを抱き抱えて、頭を撫でてあげる。 「ゆー♪」 とても幸せそうだ。 おそらく、この子の飼い主はとてもこの子をゆっくりさせているのだろう。 ふいに襖が開いた。 「……あ、目を覚まされましたか。」 入ってきたのは中肉中背の男だった。おそらくはこの子の飼い主なのだろう。 「ゆ!おにいさんおそいよ!おねえさんはもうめをさましたよ!!」 「悪い。……どうしても外せない用事があったんだ。」 「ゆ?なんなの、おにいさん!!」 「ありすが死んだ。」 気まずい空気が流れる。 ぐぅ~。 女は、さらに気まずくなった。 「ゆ!おねえさん!ふきんしんだよ!!」 「無茶言うな、れいむ。自然の摂理だ。」 それ以上触れないでくれ、と女は俯きながら思った。 「けど、良かった。あなたに食べてもらいたいものがあるんです。」 そう言うと、男は何か取り出した。 ……ゆっくりを象った人形焼きだった。 受け取ると、焼きたてなのか熱かった。 「あ、ありがとうございます。」 腹の空いていた女がそれを食べようとしたとき、 男はとんでもないことを言った。 「それは、さっき亡くなったありすのカスタードで作った人形焼です。 あいつのゆっくりした結果を味わってあげて下さい。」 女は無言で立ち上がると、人形焼きを思い切り床に投げつけた。 激しい怒りに震えながら。 「ゆっ!!?」 「あんた、自分の飼ってたゆっくりで人形焼きを作ったの……!? ふざけんないじゃないわよ、この外道ッ!!!」 女は男の近くに駆け寄り、鉄拳を食らわせた。 男はおもわずよろけて、壁にもたれ掛かる。 「なんの罪もないゆっくりを加工して菓子にして……。 それが人のすること!?それとも、人だから許されるとでも思ってんの!!? 思い上がってんじゃないわよ!!」 「ゆ!やめてよおねえさん!!!」 れいむが男を庇う。 「おねえさんはゆっくりできるやさしいひとでしょ!?だったらこんなことしな いでね!!!」 しかし、それは女にある男への怒りをさらに刺激する。 「あんた……、ゆっくりはこんなにあんたを慕ってんのよ……!! それなのに、それを加工してお菓子にする……最低どころの話じゃ無いわよ!!」 おろおろしながらも、女を見てれいむは思う。 ――やっぱり、このひとも、れいむたちをこころから たいせつにしてくれるひとなんだ、と。 だから、二人が争う所を見たくはなかった。 しかし、女はそんなれいむの気持ちなど知り得るはずもない。 「謝りなさいよ!人形焼きにしたありすに、謝りなさいよ!!!」 女は少し涙を滲ませながら叫んだ。 殴られてから、男は俯いて黙っていた。 こうされても仕方が無い。理解してもらっても納得してもらえるか どうか分からないことをしているのだから。 そう思って、なにも言い返せなかった。 けど。 「ありすに、謝る……?」 今だけは、その言葉を許すことが出来ない。 「ふざけるなよ。それはお前もだろ……!」 男が顔をあげる。怒りに満ちた顔で。 「あんたは、ありすで出来た人形焼きを、どうした。」 静かだが、激しい語気。 それに女は、思わずたじろぐ。 「ありすは最期に、倒れてたあんたに自分のカスタードを食べて貰いたい、 そう言っていたんだよ……。食べてもらって、自分の死を誰かの命の為に 役立ててもらいたかったんだ。」 男は女を見据える。怒りと悲しみのこもる目で。 「……もう一度言う。あんた、あいつの心がこもった人形焼きをどうした。」 床に叩きつけられた人形焼は、無残に潰れていた。 夜。 女は布団を頭から被って寝ていた。 ……というか、不貞寝だった。 あの後、場の雰囲気に耐え兼ねたれいむが 『も゛う゛や゛め゛でえ゛ぇぇぇ!!!』 と泣き出してしまい、男と女は諍いを止めざるを得なくなった。 『……すみませんでした。』 れいむを撫でながら、男が謝る。 『なんでよ。……悪いのは、あたしなんでしょ?』 あてつけのように女は言う。 ……実際あてつけだが、半分は本心でもあった。 『……俺も大人げなかったですから。でも……。』 『分かってるわよ。……ごめんなさい、ありす。』 潰れてしまった人形焼きを手に取って、女は言った。 『けど。』 女は男の方を向いた。 『やっぱり、あんたのしている事は、最低だと思う。』 『どぼじでぞんな゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛!!!』 れいむがまた泣き出した。 『落ち着け、れいむ。……すみませんね。あとでちゃんと 言っておきます。』 男は背を向けると、 『俺も、自分が人でなしなことをしていると思います。』 と言い残して、部屋を出て行った。 その後、女は布団に篭りっぱなしだった。 しばらくして、男が食事を持ってきたものの、男も押し黙った ままでなんの会話もなかった。 女には理解出来ない。 男が何故ゆっくりを加工するのか。そして、そんな男が何故ゆ っくりに慕われているのか。 死に際のゆっくりが自分を食べてもらいたい、と懇願すること は女も知っている。しかし、女にそんなことは出来なかった。 女は、自分が飼っていたゆっくりが死んだときの時のことを 思い出す。 ゆっくりが、自分が死んだら食べてほしいと言った時、女は 「分かったよ。」と言って食べることはせず、丁重に葬った。 そのゆっくりは、ありすだった。 朝になった。女が目を覚ますと、なにやら騒がしい。 寝ぼけながら騒がしいほうへ行くと、ゆっくり達が言い争いを しているようだった。 「ゆっくりとちぇんをはなしなさい、らん!!」 「いやだよ!!!ちぇんはわたしといっしょにいくんだよ!!!」 ゆかりんと体付きらんしゃまが言い争っている。かなり珍しい画だ。 よくみると、らんしゃまはちぇんを抱えている。 そう思ったが、 「そとはゆきだよ!つめたくてしんじゃうよ!」 「ゆ!おにいさんがいないうちにつれだそうとするなんてゆうかいだよ!」 よく見るとみょんにれいむも居て、二匹ともゆかりん側だ。 「ゆ!!おねえさん!!らんしゃまをゆっくりとめてね!!!」 女を見つけたれいむが助けを求める。状況は分からないが、 ちぇん自身が「わからないよー!!!」と不安がっているので、 らんしゃまからちぇんを取り上げる。 「ちぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!」 ……案の定らんしゃまは泣き出してしまった。女をぽこぽこと叩いている。 そんな混沌の中、男が現れた。 「なんだ、騒がしいな……って、何してるんですか。」 聞かれても困る。女はそう思った。 「あ、その……。」 「おねえさんはなんだかんだでたよりにならないから、 れいむがゆっくりせつめいするね!!!」 昨日の件で、女はれいむに嫌われたようである。 「らんしゃまがちぇんをそとのどこかにつれていこうとしたんだよ!!」 なるほど。男も女も一言で分かった。 「どうしてなのよ?みょんも言ってたけど、外は雪。……その、あたしみた いに凍えるよ?」 「ここでゆっくりしてたらおまんじゅうにされちゃうよ!!ありすだって おまんじゅうになっちゃったし!!」 「みょんなこといわないでね!!にんぎょうやきだよ!!」 「いや、突っ込むとこ違うだろ、みょん。」 男はそういうと、しゃがみこんで目線をらんしゃまに合わせる。 「最初にも言ったぞ。俺はお前らが望むなら、死んだ後に饅頭なり人形焼き にする。いやなら、ここでゆっくりした後にここを出てもいいし、亡骸を誰 にも食べさせないで墓だって作ってやる。どうしたいかはお前ら次第だって。」 「うそだよ!!!みんなおまんじゅうにされちゃうんだよ!!!」 「だまりなさい、らん!あなたいがい、すくなくともわたしやちぇんは そのつもりできてるのよ!!」 ゆかりんがそう言うと、不安がっていたちぇんがやっと口を開いた。 「ちぇんはゆっくりしたくて、しんだらおまんじゅうにしてもらいたくてここ にきてるんだよー!……らんしゃまがなんでちぇんをつれていこうとするか、 わからないよー!!」 ちぇんはそうまくし立てると、泣き出してしまった。 結局、らんしゃまはちぇんのことを諦めた。そもそも、ちぇんが悪い人に捕まっ ていると思ってここに来たらしいのだが、思いのほか居心地が良く、今の今まで 逃げ出すことをすっかり忘れていたらしい。 ありすが人形焼きにされてしまったのを知って、本来の目的を思い出したそうだ。 その二日後。 男と女は、あの日、ありすが生涯を閉じた場所に居た。 「じゃあ、らんしゃまをお願いします。」 女はちぇんを飼っているらしく、男はらんしゃまを女に預けることにした。 「おねえさんのうちに、ちぇんがいるの?」 「ええ。今は知り合いに預けてるけどね。……寂しがってたから、仲良くして くれない?」 「わかったよ!!でも、そのまえにむこうのちぇんにあやまってくるね!!!」 そういってらんしゃまはゆっくりと走り出した。 「ええと、その、色々有難うね。」 そう言って、女は男に頭を下げた。というのも、この雪の中をこのまま帰らせ る訳にはいかないと、男が様々な道具やら地図やらを貸してくれたからだ。 「そもそも。なんでこんな中を、普段着にそれこそ毛の付いたような格好で 歩いてたんですか。」 男がそう言うと、女は少し顔を赤くした。 「その……、実は、ここに来ようと思ってね。」 「……え?」 「あたし、ゆっくりんピースのメンバーだったのよ、昔。このとおりゆっくり が好きでね。虐待とかしている連中が大嫌いで、色々やってたの。まぁ、とう の昔に抜けたけどね。」 ゆっくりんピース。ゆっくり虐待の反対するゆっくりの愛護団体だが、最近は 虐待をする相手に対し、ひどく過激な行動にでることも多いという。そのせい か、ゆっくりを虐待する人間達どころか、ゆっくりの愛好者達からも煙たがら れているそうだ。 「だから、ゆっくり加工場のことを聞いて、許せないって思った。 ……それに、ゆっくりんピースの連中に襲われたら、逆に世間の人達にあんた が同情されかねないし、あたしも気分悪いし。あたしが先まわりしてやめさせ ようって、思った。」 「……馬鹿、ですね。ゆっくり並みの。」 「うるせー。」 笑いながら女は言った。 「けど、ここでゆっくりとあんたを見てたら、なんか思ってたのと違うのよね。 なんか、どこまでも『ゆっくりの為』っていうか。……あたしがあの子達を可 愛がってるのって、結局自分の為なんじゃないかって、思えてきたのよ。あん たはどこまでも『ゆっくりの為』だから、……望むなら、最期は饅頭にしてあ げるしかないのかな……って。」 女の言葉を聴いて、男の表情が曇った。 「……そうでも、ないですよ。結局は自分の為です。」 「いや、あくまであたしよりは、だよ?『ゆっくりの為』にすることが『あん たの為』に直結してるのかなーって……。」 そうじゃない、と男は言った。 「……俺は、昔飼っていたれいむを食べました。あいつが望んだから。『おい しくたべてほしい』と望んだから。途中、吐き戻しそうになったけど、必死に 耐えた。必死に。……けど。」 「結局、俺はれいむだったものを戻してしまいました。」 「……。」 「俺は激しく後悔した。だから、ここを建てたんです。俺がれいむにしてやれ なかったことを……誰かに肩代わりさせるために。 けど、出来ることなら俺みたいなことになって欲しくなかった。ゆっくりを食 べても戻さないようにするにはどうすればいいか。……それを考えたら、加工 するしかなかった。そうやって『命を食べること』をぼかす以外、俺には思い つかなかったんです。」 男が言い終わると、女が口を開いた。 「あんた。」 「……。」 「馬鹿、だね。」 「……知ってます。」 「馬鹿正直なのか卑怯者なのか……。気苦労ばっかりしてそう。」 「……まぁ、そうですね。」 男はそう言って黙ってしまった。 だが、女は構わず続ける。 「けど、ちょっとは幸せでしょ?あの子達の笑顔を見られるだけでも。…… だから、こんな辛いことやってる。知ってる?辛いと幸せの漢字って、棒ひ とつしか違わないのよ。」 男は何もいわなかったが、そのとおりだった。 「あたしには、出来そうにない、な。真っ正面すぎて。」 そう言って女は、窓越しにゆっくり達が遊んでる情景を見る。 「ちぇぇぇぇん!おわかれにきたよー!!!」 「ゆ!いいかげんまえをみてね!れいむはちぇんじゃないよ!」 「まったく、らんはこりないわね。」 「ホント、幸せそう。」 男は思う。最期に食べられることは必ずしもゆっくりの幸せじゃない、と。 けど、……それは確実にゆっくりの幸せのひとつのカタチ、格好つけて言え ばアイデンティティーを構成するパーツのひとつなんだろうと。ゆっくりす るための、大切な何か。 誰になんと言われようと、男はそれを守りたい、と思った。 終わり ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ふう。予定より大幅に長くなったよ!!! でもなんかイマイチ感がぬぐえない……。 ヘタレSS書きでごめんね!!! あと、ゆっくりんピースネタごめん。 by.ゆっくり怪談の人。 いいなあ -- (2008-10-02 01 51 30) このネタって愛でSSで使うには微妙じゃないかなあ?遺言を踏みにじってるわけだしねぇ。これじゃあゆっくりしてるの、お兄さんだけだよ。 -- 名無しさん (2008-10-14 17 20 46) 愛はある。お兄さんはお兄さんなりに守れなかった約束を償おうとしてるんだから。こういう切な愛情表現も俺は嫌いじゃない。 -- 名無しさん (2008-10-15 03 31 04) 「いい…センス…」 -- 名無しさん (2008-11-30 23 49 09) れいむを吐いてしまった理由を考えてみろよ…「自分の愛した者を、理性が食う事を許すのだろうか」 -- 名無しさん (2008-12-09 17 02 20) しまった、改行できないのかorz 「感想への感想」は荒れの素になりかねないので御法度だ。管理人様、消してくれると助かります。(消えてなかったら以下何事もなかったかのようにお願いしますm(_ _;;)m) -- ⑨ (2008-12-09 17 05 20) この話、充分に愛だぜ… 辛いと幸せは棒一つの違い、幸せから「一」がなくなる時は辛い 辛くなるのは、それまでが幸せだった証なんだ… 口に入れて噛むのを躊躇って戻しただろう…涙でむせて戻しただろう…身体の中で無くなるのがたまらなくなって戻しただろう… それだけ幸せだったろうから -- 名無しさん (2009-04-27 20 07 43) ありすの意思を考えなしに踏みにじった糞女にグーパンしたい -- 名無しさん (2009-06-22 13 19 32) まぁ、人間にも英雄が死んだらその肉を食って、英雄の力を受け継ぐという文化がありますんで、いいんでないすか。 -- 名無しさん (2010-11-27 19 17 19) これを読んで不愉快になるの意味がわからない。むしろちょっと空気読もうとして及び腰になってるように感じた。もっと踏み込んでもいいんじゃないかなー。 -- 名無しさん (2012-01-29 09 30 27) ゆっくりを愛でる奴は屑でしかない -- 空空 (2016-12-16 00 12 26) ↑ここで言うことか?なぁ? -- ○ (2020-12-05 09 55 54) 名前 コメント
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